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「タイ全土で"走る募金箱"になる」

「タイのこと、もっと知りたい、つながりたい」のルアムジャイ、実行委員のあいばです。

ルアムジャイには、2015年度にホームステイの受け入れを5回体験した翌年から2019年に本帰国するまでと、少し空いて今年度、実行委員として関わっています。


★この記事では、私が、主にタイに住んでいた頃に参加していた、タイ人との寄付集め自転車ツーリングについて紹介します。


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もともと自転車で旅行するのが好きだった私は、20年以上前の日本在住時から、一人で北海道や九州に自転車旅行に出かけたり、タイに自転車を持ち込んで自転車旅行をしていました。2008年にタイに住み始めたのですが、駐妻でありつつ、私自身も4年ほどフルタイムで仕事をしていたこともあり、2-3泊程度の自転車旅行を年に1-2回、一人だったり、夫や子どもを連れて出る程度でした。


仕事を辞めてしばらくした2016年に、前からタイ人の自転車屋さんに誘われていた寄付集めツーリングに行ってみました。店長に促されるまま、タイ人と同じように寄付集めの任務も果たしてみることにしました。私が初めてきちんと参加した寄付集めツーリングはこの時になります。


ツーリングでの寄付集めのやり方ですが、まずわらの束「プム」(タイ在住の方なら、お寺やお店に置いてあることがあるのを見たことがあるかもしれません。日本刀の切れ味を試すときに使うようなやつです。)を自転車の荷台に据えます。専用の木の棒「マイシアップ(直訳:挟む棒)」を積み、朝ご飯を食べたら40-50人のメンバーが一斉に出発。その日泊まることになっているお寺までの90kmほどを自由に走行。走行中やガソリンスタンドでの休憩中、寄付したい人に呼ばれたら木の棒を渡し、お札を挟んでもらって寄付を受け取ります。


自転車には行先や目的などが書かれた看板を下げてあります。何県の何寺とか何学校、講堂や鐘堂を建てるため、トイレや食堂を造るため、など。ですが、運転している人から細かい所は見えないので、呼ばれてから説明をして寄付をもらいます。私たちを止めた時点で寄付はしてくれる気なので、話の内容によって寄付をやめる、ということはありません。逆に、目的地が自分の知っているお寺だったり、私が日本人だと分かるととても喜んでくれて、寄付する額が増える可能性はあります。


寄付者からもらったお札を挟んだ木の棒を、荷台のプムに刺して見せびらかしながら前進するのがタイ式。ちょっと日本では考えられないスタイルですね。もちろん、風で飛んで行ったり、抜き盗られることも、なくはないのですが、それも大きな問題と考えないのがタイ人の寛容さ。芸術的に刺して美しく見せる人もいます。タイでは「お金は華やかに魅せるもの」それがお返しになるのかもしれません。「こんな風にあけっぴろげにお金運ぶんだ。面白いな~。」と思いました。


タイに住んだことのある方なら「タンブン」という言葉を聞いたことがあると思います。「ブン」は「徳」・大小関わらず「善行」の意味があり、「タンブン」とは、いいことをする・徳を積む、という意味です。一番分かりやすいのは寄付・喜捨をすることです。

お金をもらうのだから、こちらがお礼を言うのは当然かと思うのですが、何人もの寄付者と話していて疑問に思ったのは、寄付者からもお礼を言われること。徐々に分かって来たのは、私たちが彼らの「タンブン」の代行をしてくれていることにお礼を言っているようなんですね。「走る募金箱」として、私たちの方から寄付者の隣まで来てくれるというのは、便利なことが好きなタイ人にはとても合うのだと思います。


だから、上から目線の寄付ではなく、真剣に長いことぶつぶつ祈り、お願いごとをして、私たちがお金を預かって届けてくれることにお礼を言うのです。私たちを通じて、願いをかなえてくれる仏を見ているのでしょう。寄付・喜捨をすることで、めぐり巡って自分に良いことが返ってくる「自業自得」を強く信じている感じがします。

この寄付集めボランティア要員になることで、私たちも寄付先に「ありがとう」と感謝されます。サイクルシャツをもらったり、毎朝夕の食事や終了時の宴会でもごちそうを振舞ってもらえるので、こちらもほんまに「ありがとう」なんです。95%が仏教徒という、仏教が根底にある国だから成り立つのかもしれませんが、「ありがとう」が連鎖する「Pay Forward: 恩送り」のいいシステムです。

寄付・喜捨の相手が、私たち走者の場合もあります。四国のお遍路さんへの「おもてなし」のイメージです。「タンブン」に寄与する私たちを助ける「タンブン」です。でもこちらは自転車なので、慣れないうちは大量にいただいてしまうと、正直とても困りました。何本もパックされた水や瓶に入った飲料などは、その場でその辺の仲間に分けてしまわないと持ちきれません。


最強に困ったのは、丸ままのドリアンを二つもらったとき。ドリアンはメロンやスイカのように大きくて重い果実。頭の上から落ちてきたら大けがをするくらいの固い棘で覆われています。座れる場所すら近くにない道端で、私しかいないときにもらったのでとりあえず前進したのですが、入れた袋も棘ですぐに破れてきてどうしようもなくなり、走って来た仲間を何人か捕まえてその場で食べきりました。


宿泊は、寺の講堂や学校の教室など、雨がかからないところですが基本テント泊です。ホンナーム(タイ式のトイレ兼水浴び部屋)で汗を流し、洗濯もします。みんな要領を得ているのでアナウンスはありません。宿泊地に着いたら好みの場所にテントを張って、ホンナームで水浴び、と各自勝手に動きます。炊き出しかお弁当の夕食が用意されているので、手が空いた人から自由に食べます。


ばらばらに走っている日中は、お腹が空いたら道端のお店や、ガソリンスタンドには必ずというほど併設されているコンビニでちょいちょい購入して食べます。疲れたら昼寝をしてもいい。寄りたい観光地に勝手に寄ってもいい。日程も、全日参加が望ましいとはいえ、途中参入途中離脱もOK。寄付集めも、看板に興味を持つ人に気を配る程度で、ただそこで待つだけ。がむしゃらに呼びかけて募ったりはせず、その人の意思に任せます。自分の自転車に張り付いてプムの面倒を見ておかなくてもOK。いなくても、近くにいる他のメンバーが普通に受け取ってくれるから。気にせず、普通にごはん食べたり、トイレに行ってもいい。とにかく自由で、必要以上にがんばらなくていい!というのが目からうろこでした。


日本人が想像しにくいこととして、タイでは、集合時間・出発時間はあくまで目安で、守られることは少ないです。変更事項があっても一部の人しか知らず、グループLINEで伝えられないことが多いです。日本人のイベントと違い、急な変更や連絡不備で翻弄されることも多く、初めの頃は不安なことが多々ありましたが、慣れてくると、徐々に、まぁどうにかなるもんだ、と分かって来ました。こちらも気負ってキチキチしなくても許される雰囲気があるので、かえってそういう緩さが心地良くなりました。


もともとの知り合いは数人しかおらず、最初はちょっと参加してみようと思っただけでした。でも日本人参加者は珍しい、というか、おそらくタイ全土でも私ひとりしかいないので、一緒に参加しているタイ人も珍しがって誰彼問わず話しかけてきますし、寄付をくれるタイ人とのコミュニケーションも、タイ人ではない私には大変でもあるのですが、とても興味深いものでした。

タイ人はとてもオープンマインドなので、話せる人もすぐに増え、行ったことのない県が目的地だったりすると次も行ってみたくなります。また、みんないろんなグループの寄付集めツーリングを渡り歩いているので、違うグループのツーリングにも行ってみるようになりました。



自由で、面倒な行動規制もなく、友だちと旅行気分であちこち見に行ったり楽しみながら、仏教精神に根差した社会貢献もできるという一石二鳥三鳥のツーリングが、とても肌に合い、2016年以降、本帰国する2019年までの間に、7-10日間の寄付集めツーリングにほぼ毎月出かけ、40回近く参加することになりました。


一度ツーリングに出ると、500-800kmは走ります。ついでにスタンプラリーのように77県すべてに自転車で乗り入れるという目標も達成。寄付集めではないツーリングも加えると、タイ国内を4万km走ったところで本帰国しました。


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折りしも本帰国した直後にコロナ禍となり、タイに来ることすら難しい状態が続いていましたが、ついに2022年6月、ひさしぶりにタイ人と一緒に走ることになり、FB投稿に上げた視覚障がい者団体のサポートを目的とした寄付集めツーリングに参加する運びとなりました。長らくFBでしか会っていなかった人にもたくさん会えました。


いつものツーリングだと平均80km/日は走行するのですが、視覚障害の方も参加しているため、今回は60km/日くらいだったので、2年半日本で暮らしてブランクもあり、暑さに弱くなった今の私でも着いていけそうと思い、このツーリングをリハビリツーリングに選びました。

交通量が多くはない地域を走ったこと、走者の数も多くはなく、距離も短めだったこと、コロナによる経済的な落ち込みのせいもあるのか、いつもより寄付者は少なく、集まった寄付額も控えめでしたが、それでも総額120万円相当集まりました。


今回はお寺や、お寺に付属の学校への寄付ではないため、お坊さんがお経を唱えて受け取る儀式はなく、集まったお金をカゴに乗せて団体へ献上、という写真をその辺にいた人たちで撮影して終了しました。

このままコロナが爆発することなく風土病扱いになっていくなら、またちょくちょくタイへ行き、体力が続く限り参加したいと思っています。

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